妄想する巨大建造物

帰宅してBS NHK熱中時間」の工場ナイト。いわゆる工場萌えなひとたちをあつめてその魅力を語り啓蒙するという内容。

今のおれはガスタンク萌えだが、おれにとっての巨大建造物の原風景は、実家の目の前の大学医学部にあった二本一組の煙突だった。道を隔てた塀の向こう、二本の巨大な煙突がそびえ立つ風景を毎日見ていた。

広い病院の敷地は子供たちにとって格好の冒険の場所だったが、同時に死の匂い、血のにおいをかぎ取っていた。「あそこの古い木造の建物には死体が安置されていて、近寄ると血の匂いがするんだ」などと、子供たちは妄想し語り合っていた。

灰色の二本の煙突はその象徴だった。あれは死体を燃やしているのだと子供たちは信じていた。